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「ハヤテのごとく!」
潰れたザクロは誰のモノ?

潰れたザクロは誰のモノ?

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「ねぇ、今、何考えてる?」
 午後12時。
 私は携帯電話を手に口を開いた。
「え?明日の朝食の事を……」
 バコッ!!
 近くにあった机が音を立てて崩れ落ちた。
 手に持つ携帯電話はミシミシと音を奏でる。
「何で……?」
「……え?」
 怒りで声が震えた。
「何で、私のこと考えてないの……?」
「で、でも……」
 山も海も空も土も私のモノ。
 だから、あなたも私のモノ。
 なぜ、それが分からない?
 今あなたが考えている朝食は誰が食べる?
 あの子だ。
 私じゃない。
 なぜ?
 私はこんなにあなたを愛しているのに。
 あの子はあなたを良いように使っているだけ。
 そんな子に朝食なんて作らなくていい。
 そんなの、あなたが不幸になるだけだというのに。
「ハヤテ君は、私の事だけを考えればいいの」
 そう。だから、あなたは私のことだけを見て。私のことだけを考えていて。
「で、でも僕はお嬢様の執事なので……」
 まただ。またその言葉。
 誰も彼もナギナギナギナギナギナギナギナギ。
 そんなにナギが大事?
 執事だから。
 そんな言い訳は聞き飽きた。
 あなたは私のモノ。
 私を見て。
 私だけを見て。
 他の人は視野にも入れないで。
「あの……そろそろお嬢様を就寝させなければならないのですが、良いですか?」
 また。まただ。
 なぜあなたは私のことを見ないの?
 あの子のせい。
 あなたを誑かしてだましているのはあの子のせい。
 だったら、あの子がいなくなればいい。
 あの子が居なくなればあなたは私のことを見てくれる。
「ナギの服を汚して」
「……え?」
「目障りなの」
「ヒナギクさん?」
「ナギを汚して。転ばして。それを見て笑いましょう?憎みましょう?」
「……どうしたんですか?今日のヒナギクさん、おかしいですよ?」
 バキンッ!!
 携帯電話が音を立てて、役に立たない冷たいガラクタに成り果てた。
 あなたまで、私のことをおかしいというのね。分かってる。
 あなたのせいじゃないというのはちゃんと分かってるから。
 全部、あの子のせい。
 あの子が何もかもいけないの。
 私は部屋を見渡して、あることを思いついた。
「そうだ。あの子をガラクタにしよう」
 この壊れた携帯電話のように冷たく、何も喋らない体にしてしまえばいい。
 大丈夫。もうすぐ、あなたを助けてあげられる。
 あの子は、ガラクタになるからね。
 私は走り出しそうになる足を押さえつけ、キッチンへと向かった。



「……ヒナギクさん?」
 生徒会室。
 私とあなたの二人きり。もちろん、邪魔なあの子はいない。
「何?ハヤテ君?」
「用事って、あの?今日はお嬢様に早く帰ってこいと言われてるので……」
「ナギ?ナギね……。あは、あははははは!」
 また。ナギナギナギ。今あの子はいない。
 ここに居るのは私。そして、あなた。
 なのに、この場に居なくてもあの子は邪魔してくるのね。
 でも、まぁ、良いわ……
 それも、今日で終わり。
「どうしたんですか?」
 私の言葉にあなたは眉をひそめた。
「ナギはもう、居ないわ。今頃きっと、ガラクタになってる」
「……え?」
「私、あの子にジュースを送ったの。甘い甘い、特別なジュースを」
 そう言って、私は近くのカゴに入っていたザクロを手に取った。
 真っ赤に熟れたザクロ。食べ頃はもう、過ぎている。
「……まさか!」
「電話してももう遅いわ。きっと今頃、こんなになっているから」
 私はザクロを放りあげた。
 ザクロは放物線を描き、床に当たって砕け散る。
 赤い赤い果汁は辺りに飛び散った。
「ヒナギクさん!」
「あなたは私だけのモノ。だからほら、邪魔者は消したじゃない。だから、あなたは私だけの事を考えていればいいの」
 もうあの子は居ない。
「お祝いしましょう?別れの祝い。喜んで。私とずっと一緒に居て。……ね?」
 私が手を伸ばすと、あなたはパシッと手を払いのけた。
「………るな!」
「え?」
「ふざけるな!お前は誰だ?ヒナギクさんはそんな事はしない!」
「……………………………………………………そう」
 何故?あなたは私を拒む。
 憎むべき相手は私が消した。
 何故あの子ばかり気にかける?
 何故私じゃない?
 あなたは私のモノ。
 私だけを見て。
 私だけと喋って。
 私だけを考えて。
 あなたに許される存在は私だけ。
 なのに、何故?
 何故何故何故何故何故?
「あなたは私のモノ。私だけのモノ」
 あなたを壊せばあなたは私のモノになる?私だけのモノになる?
 そうだ。全てガラクタにしてしまえば私のモノになる。
「なんだ。簡単なことだった……」
「……何?」
 ガラクタをどうしようと私の勝手。
 壊せ。ガラクタにしたいなら壊せばいい。
 携帯のように。
 赤く潰れたザクロのように。
 信じてくれないなら。あなたが私のことを拒絶するから。

 だから。これはあなたのせい。
「じゃあね。ハヤテ君」

 木刀。あなたの体を、肉を貫く木刀は剣先から血を滴らせる。
 これであなたは私のモノ。
 私だけのガラクタ。
「か……はっ……!!」
 あなたは口から血を吐き出した。
 それはまるで、赤い赤いザクロのよう。
 ふと、足元へと視線を移した。
 床に広がる潰れたザクロ。
 壊したのは私。
 だから。

 潰れたザクロは、私のモノ――




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