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「ハヤテのごとく!」
今、君に逢えたら。

今、君に逢えたら。

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 居なくなってしまった――
 アナタは、私の側から。いや、別に私の側に居た訳じゃない。
 けれども、前までは手を伸ばせばまだ届いたかもしれない。
 でも、今は、届かない。
 アナタが居なくなって、穴が開いたみたいに心が痛くなって。
 今すぐ逢いたかった。
 逢ってこの想いを伝えたかった。

 私はアナタが好きです。大好きです、と――



 冬の、身も凍るような冷たい風が吹いていた。
 その風は容赦なく私に吹き付け、その寒さは私の体に染みる。
 ――ハヤテ君がイギリスへ執事留学をしに行ってしまってから、もうすぐ一年の時が経つ。
 寂しかった。
 淋しかった。
 その想いが私の心を支配していた。
 彼が遠くに行ってしまってから気付いたのは、いかに私が彼に依存していたか、だった。
 ハヤテ君が居ないだけで、こんなにも取り乱してしまう。
 心が痛くて。心を風が吹き抜けて。
 四六時中、ハヤテ君の事を考えてしまう。
 ……軽い、病気なのかもしれない。
「あら、ヒナギクさん? こんなところで何をなさっているのですか?」
 突如、私の背後から聴こえてきた声で我に返る。
「あ、マリアさん。……少し、考え事を」
 私が言うと、マリアさんは全てを把握したかのようにクスリ、と笑いながら頷いてから口を開いた。
「ハヤテ君の事ですか?」
「へ? い、いや、別にそう言う訳じゃ無くてですね。えぇと、その何て言いますか、あ、そう! ピタゴラスの定理と二項定理の相互関係についてで!! いやぁ、ニュートンってば凄いですね~」
「ふふっ、ヒナギクさん。もっと素直になったらどうですか?」
「へっ!? いや、そんな、別に私は嘘なんか……」
「ナギもそうですから、分かりますよ。ヒナギクさん、ハヤテ君の事が好きなんでしょう?」
「いやいやいやいや!! 何言ってるんですか!! マリアさん!!」
「違うんですか?」
「あ、その、う……」
 ――ハヤテ君。ハヤテ君の事を考えると胸が苦しくて。切なくて。でも嬉しくて、何が何だか分からない。
 でも、その感情はきっと……
「……違わないです」
「ふふっ、よろしい!」
 そう言って笑うマリアさんの言葉は、私の心に染みる。
 素直に、なったら。素直だったら、まだ、この苦しみもマシだったのかもしれない。不思議とそう思うのだった。



「私、ハヤテ君が居なくなった時に思ったんです。やっぱり、って」
「……やっぱり?」

「はい。私が好きになった人は、大切な人は、私の前から居なくなってしまうんだって」

 私の言葉に、マリアさんは首を振る。
「別に、ハヤテは居なくなった訳じゃないですよ? 遠い、もう届かない所へ行ってしまった訳でもないですし」
 それに……。そう言って、マリアさんは続ける。
「ハヤテ君は帰ってきます。会いに行こうと思えばそれこそいつだって会いに行けます。ハヤテ君は居なくなった訳じゃないんですよ」
 ……そうだ。マリアさんの言う事は正しい。間違っていない。
 ハヤテ君は帰ってくるのだ。
 当たり前の事。それは、あまりに基本的な事で。正に盲点、と言うべきなのだろうか。
 ――けれど。
「もう、私達は高校を卒業しました。ナギとは違う。私とハヤテ君を繋げるモノは何一つ無いんです。だから――」
「もう会えるかどうかも分からない、ですか?」
 私の言葉を先回りして、マリアさんが口を開いた。
 正に私が言おうとした言葉そのまま。
「ありますよ。ヒナギクさんとハヤテ君を繋ぐモノ。アナタが、ハヤテ君を想う気持ちだけは嘘偽りのないモノ。アナタが変わらない限り、それは色褪せない永遠のモノです」
 ……マリアさんは、すごいや。
 私の心に吹きすさぶ冷たい風を、こんなにも短時間で癒してくれた。
「本当、ですか?」
 もう一度、確認。それを、私の意志にするためにもう一度私は尋ねる。
「ハヤテ君と私を繋ぐものは――ありますか?」
 マリアさんは笑顔で。
「私の方がお姉さんなんですから、お姉さんの言う事を信じなさい!」
 あぁ――。
 この人には敵わない。そんな事を思いながら、私はそのお姉さんに視線を移す。
 夕陽をバックに輝くマリアさんの姿はさながら……
「マリアさん。……ありがとう、ございました……」

 ――聖母のようだった。





「Excuse me, I want to go to this address.(すみません。この住所に行きたいのですが)」
「It is this vicinity. It is suitable so in that high building.(それはこの近くだ。そう、あの高い建物で合っているよ)」
 私は男の人に礼を言い、逸る足を押さえて歩き出す。
 さすがロンドン。雰囲気も練馬とは大違いだ。
 ちなみに彼が執事実習している建物は調査済み。
 ……ふふっ。会いに行ったら驚くだろうな。
 もう少し。もう少しでアナタに会える。
 そんな事を考えていると、前方に見慣れた空色の髪をした男性を発見した。
 その身を執事服に包み、後ろから見た姿でさえ少し中世的な彼――
 私は、気付いたら駈け出していた。
 ハイヒール? 気にしない。
 スカート? 気にしない。
 想いを伝える。この、想いを。一秒でも早く伝える為に走る、走る、走る。
 私と彼の距離は少しずつ縮んでいって。
 そして――

「ハヤテ君!!」

 0に、なった。




                                           Fin.
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