放課後は二度と来ない

「ハヤテのごとく!」を始めとした二次小説を公開しています。

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がらんどう

がらんどう

 憎たらしい朝が来た。
 カーテンの隙間から射し込む朝日が、一日の始まりを告げていた。薄暗い寝室の中に入り込む光は、真っ直ぐカーペットに突き当たり窓枠の影を落とす。周囲の闇を集めたかのようにくっきりとした影から目線を上にずらすと、無数の塵が光を反射させながら漂っているのが分かった。
 気怠い体をベッドから起こし、眠い目をこすりながらカーテンを開ける。襲いかかる圧倒的な光量に顔をしかめながらも窓を開けると、新緑を揺らすそよ風が室内に吹き込んだ。ふと気になって窓のサッシを撫でると、溜まった埃が指に付いた。息を吹きかけ外へと飛ばす。
 それから私は、着ているネグリジェへと手を伸ばした。しゅるりと一気に脱ぎ捨てる。クローゼットを開け、少し迷ってから飾り気のない真っ白なワンピースを取り出した。

「お嬢様」

 ワンピースに袖を通すとそれとほぼ時を同じくして木製の扉がコンコン、と二度乾いた音を立てた。次いで、若い男の声。

「もうお目覚めになられてますか?」
「……えぇ、ちょうど起きたところです」
「それは良かった。今朝の調子はどうですか? いつもとお変わりないようですが」
「そうですね。すこぶる、良好です」

 ……残念なことですけど。
 そう心の中で付け足す。体調は良好に違いないが、気分は最悪だった。出来る事なら、一日中ベッドで寝ていたい。

「じゃあ、もう朝食は出来てますから。すぐに来てくださいね」
「分かりましたわ。すぐ、行きます」

 私の言葉を聞いて、彼は「では」と一言残して扉の前から離れたようだった。パタパタという足音が次第に遠くなっていく。
 その規則的な足音を耳にしながら、私はドレッサーの前に腰を下ろした。鏡を見ながら髪を梳かし、両サイドで髪を結い上げる。

「……もういい年なのに、ツインテールなんて似合いませんわね」

 鏡に映るツインテールの自分を見て、私は一つ、ため息を吐いた。それは薄暗い室内にゆっくりと沈みこみ、埃と一緒に絨毯を覆う。私はかぶりを振り立ち上がった。
 ぎぃっ、と音を立てて扉を開ける。汚れ一つないカーペットが敷かれた廊下に出ると、扉は軋み、重厚な音を残して世界を隔てた。



「今朝は、良い卵が手に入ったのでオムレツにしてみたんですよ」

 大小二枚のお皿が、テーブルクロスを敷いた食卓の上に乗っていた。
 彼の言葉通り大きなお皿の上にはふわふわなオムレツとサラダが、小さなお皿にはシンプルな丸パンが盛り付けられている。どれも出来立てで温かく、起きたばかりの私の食欲をかき立てた。

「じゃあ、早速……。いただきます」

 オムレツをナイフで切り、口に運ぶ。
 まずソースの甘みが口に広がった。それから一回二回と咀嚼するたびに卵の甘みが溢れ出し、ソースと合わさる。二つの甘みは互いに殺すことなく調和して、極上とも言える味を作り出していた。
 文句なく、美味しい。どこぞのホテルの一流シェフが作った朝食だと言われても疑うことはしないだろう。

「……どうですか?」
「卵がふわふわですし、かかってるソースも甘くてとっても美味しいですわ」

 答えて、もう一口。
 咀嚼して飲み込んでから口を開いた。

「ソースはエビですか?」
「えぇ、アメリケーヌソースです。昨日の夕食でエビを使ったので」

 あぁ、そう言えば。
 彼の言葉に、私は昨日の夕食にオマールエビが使われていたことを思い出して頷いた。アメリケーヌソースは一般的にオマールエビの殻を使って作るソースだ。パスタやオムレツに良く合うが、作るのには少し手間がかかる。

「でも、手間だったでしょう?」
「いえいえ。お嬢様が美味しそうに料理を食べてくれることを考えれば、手間でも何でもないですよ」

 ニコリと顔に笑みを浮かべ、彼は歯の浮くような台詞を口にした。
 その笑顔に堪えられなくて、誤魔化すように目線を逸らしオムレツを口に運ぶ。
 無意識にそんなこっ恥ずかしいことが言えるのは、彼が生粋の天然ジゴロだからなのか、それともまた別の何かのせいか。彼のことだから、そんな言葉には深い意味はないのだろう。けれど、惚れた弱みで心が揺れた。
 私は頬が落ちるほど美味しいオムレツと丸パンを食べ、サラダを平らげてから、口を開いた。

「……それなら、良いんですけど」

 彼は私の言葉に答えなかった。黙ってお皿を下げ、ティーセットを代わりに置く。ベルガモットの爽やかな香りがふわりと立ち上がって、鼻孔を抜けた。

「アールグレイです」
「えぇ、ありがとう」

 一口飲み、ふと気になって透き通った紅色の水面を覗き込んだ。ゆらゆらと昇る湯気の向こうに、くすんだ瞳の私が見えた。
 そのくすんだ瞳に若干の嫌悪感を覚えて視線を上げると、今度は染み一つ無い純白のテーブルクロスが視界に入る。

「……お嬢様?」
「……いえ、何でもないですわ」

 彼に名前を呼ばれて、私は顔を上げた。
 側に立つ彼に何でもないと示すように紅茶に息を吹きかけ、一気に流し込む。少し品の無い飲み方だが、そこは仕方ない。

「あぁ、そう言えば」

 ティーセットを下げながら彼は思い出したかのように振り返って、またも私に笑顔を向けた。

「今日もその髪型、似合ってますよ」

 ――あぁ、まただ。
 私は彼から目を逸らし、小さくボソリと呟いた。彼はお面のように貼り付けられた笑みを浮かべていて、しかし、その瞳は全く笑っていない。

「……えぇ。ありがとう」

 上辺だけは完璧で。
 その分、中身は空っぽだった。

 ――世界も、彼も全て等しく。



 東京都練馬区東半分。
 そんな馬鹿げた住所を持つお屋敷で、私は彼と二人だけで住んでいる。その広大な敷地の中には山や川をもちろんのこと、湖から何までなんでもござれ。
 やろうと思えば二人で暮らす分には十分な食べ物を得ることができたし、何か欲しいものがあればパソコンからクリック一つで手に入れることができた。さながら二人だけの、二人ぼっちの世界である。

 今でこそ、このお屋敷は私のものであるのだが、もともと数年前まではとあるお金持ちの少女のものだった。私と彼はその使用人で、その三人でここに住んでいた。
 けれども、私達の主人と使用人という肩書は形式的なものであった。
 私達は主従という形式を超えて、まるで家族のような関係を築いていた。さしずめ彼女を中心に、私が姉で彼が兄。
 彼女はワガママで素直じゃない手のかかる少女であったが、彼女を中心とした日々はそれなりに幸せだったのだと思う。
 グズる彼女を起こし学校に向かわせ、ある時はワガママに付き合い、またある時は厳しく諌めた。
 けれどその幸せは長く続かなかった。
 ある日突然、彼女はこの世から姿を消したのだ。私と彼が目を離した隙にトラックに轢かれて、酷くあっさり、その短い生涯に幕を閉じた。
 彼女の死を一言で言うならば、無意味な死であった。彼女の持つ遺産相続の権利を狙ったものでもなければ、運転手に彼女に対する恨み辛みがあったわけでもない。ただの余所見運転。それが事故の原因だ。
 彼女は、たまたま運悪く、そこに存在した故に死んだ。それ以上でも、それ以下でもない。無意味な死だな――。そう思ったことだけは、鮮明に覚えている。

 当時のことは、よく覚えていない。
 ただ、彼女が死んで途方に暮れている間に、彼女の祖父と彼が話を進めて、この屋敷の所有権は彼女の祖父の養子であった私の下へと転がり込んできたのだった。
 こうして私は主となり、彼は変わらず使用人のまま。ただ一人が欠けたまま時が流れて、そこには違和感しか残らなかった。

「――お嬢様」

 彼の言葉で、我に返った。
 庭のベンチから立ち上がって、ワンピースの裾と屋敷から出る前に被った麦わら帽子を整える。

「お昼寝でも、なさってたんですか?」

 彼はお面のように完璧な笑みを浮かべていた。まるでそれしか表情を知らないかのようないつもと変わらぬ笑顔。それは、私をひどく不安にさせた。

「……えぇ、少し」
「いい陽気ですしね。けど、気を付けないと綺麗な肌が焼けてしまいますよ」
「そうですわね。……戻りましょうか」

 そう言って私はお屋敷へと足を向ける。数歩歩いて思い直して、くるりと彼の方へと向き直った。

「……貴方は」
「なんですか? お嬢様」

 彼は可愛らしく小首を傾げた。

「貴方はいつも、何を見てるんですか?」
「……僕はいつも、お嬢様のことを見てますよ?」

 彼は少し言葉に詰まってから、やはり、お面のような笑みを浮かべてそう告げた。

 ――嘘ばっかり。

 出かかった言葉を慌てて飲み込む。

「あら、お上手ですね」
「いえいえ、本心ですよ」

 ――彼は、私の向こうに何を見ているのだろうか。



 ――なんて臆病なのだろう。
 自室に戻り、私は髪を解いてベッドに飛び込んだ。それから、ごろりと転がって枕を抱え込む。
 実際のところ、彼がいつも何を見ているか、という問いに深い意味はなかった。それはあまりにも分かりきったことであったし、そもそも彼が答えないであろうことは想像に難く無い。

「……初めから、分かっていたことですわ」

 亜麻色の髪を弄る。
 そう、初めから分かりきったことだったのだ。

 私にツインテールが似合うと薦めてきたのは彼であった。試しに髪型をそうしてみると、彼は可愛い、似合うと絶賛の嵐。
 それが嬉しくて、彼に褒めて欲しくて、私は毎日ツインテールを結うようになっていた。
 暫くして、彼は私に愛の言葉を囁くようになった。愛しています。僕から離れないで。僕を一人にしないで。
 私はそれが嬉しかった。
 彼に必要とされてるようで、その言葉を囁かれる度に、私の心はビクンと跳ねてじんわりと暖かさが広がった。
 けれど、私も馬鹿ではない。いや、馬鹿だったらどんなに良かったことか。どんなに幸せだったことか。
 けれど、世界は残酷で。私は気付いてしまったのだ。彼が愛を囁いている相手は私ではないことに。
 私は彼女の代替に過ぎなかったのだ。
 彼はあくまでも主従の関係に拘った。突然起きた悲劇を受け入れられなくて、代わりのモノを配置して、今まで通りにすごそうとしたのだ。だから私をこの屋敷の主にし、髪型をツインテールに変えさせたのである。
 さしずめ、この二人ぼっちの世界は彼の作った仮初の世界。『今まで』を『これから』も続けるための世界。

「……私は……」

 私はベッドから身を起こした。
 彼にとって、この世界から本当に居なくなったのは一体誰なのだろうか。
 ――私?

「……なんてね」



 カーテンの隙間から射し込む朝日が、一日の始まりを告げていた。薄暗い寝室の中に入り込む光は、真っ直ぐカーペットに突き当たり窓枠の影を落とす。
 ベッドから体を起こし、カーテンを開ける。目についた窓のサッシはピカピカに磨き上げられていて、塵一つ見当たらない。
 それから私は、着ているネグリジェへと手を伸ばした。しゅるりと一気に脱ぎ捨てる。クローゼットを開け、飾り気の少ない真っ白なワンピースを取り出した。
 ワンピースに袖を通し髪をツインテールに結ってから、私は部屋をぐるりと見渡した。汚れのない清潔感に満ちた、まさに完璧とも言える寝室。私は満足げに頷いた。

 部屋の扉を開けると、パンの焼ける良い匂いが鼻孔をくすぐった。微かにバターの匂いも感じられる。
 私は数分後には口にすることが出来るであろうそれに胸を躍らせながら、キッチンにいる彼の元へと向かう。
 扉が部屋と廊下を隔てる音は、ついぞ聞こえなかった。
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あらすじ

がらんどう

 ハヤテのごとく!SS
 大きな屋敷に二人で住んでいる。私と、執事の綾崎ハヤテ。
 一人が欠けて、それが補われることは永遠にない。

 ――彼にとって、本当にいなくなったのは一体誰なのか。

 三千院ナギが亡くなり、館の主となったマリアを描いたSSです。

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The herbivorous

The herbivorous

「くっそ……」

 自転車のペダルを思いっきり踏みしめた。
 それに呼応するかのように、背中を水滴が伝う。
 オマケにノドや肺、体中の筋肉は燃えるように熱く、水を求めて悲鳴を上げていた。

「くっそ……」

 俺――薫京之助は顔を上げ、呟く。それから、いつまでも終わりそうにない坂道をこれでもか、と言うほどに睨みつけた。
 それはこの暑さに対するささやかな反抗だ。正直なところ、もう汗を拭く元気すら残っていない。

「……暑い」

 ただそれだけだった。まるで砂漠であるかのようなジリジリと身を焦がす暑さ。道端に生えている雑草も、すっかり水気を失い干からびていた。見るだけで汗が吹き出すようだ。

「あつ……」

 もう一度、呟く。
 全く、お日様の気まぐれには困ったモノだ。
 ついこないだまでグレて顔すら見せてなかったクセに、梅雨が明けた途端にやる気を出してギラギラギラギラ。俺も本気を出せばこんなモンだぜ、とでも言いたいのか。それなら充分過ぎるほど分かったのでそろそろお休みになられたらどうですか。

 ………………。 ………………。 ………………あぢぃ。

 そんなグチもとうとう言う元気が無くなって、俺はただただ機械的に重力に逆らう作業に集中する。アスファルトが熱を照り返し、その上のろのろと漕いでるせいか風は感じることも無い。地球さん、地球さん。クーラーなんて贅沢は言いません。だからせめて扇風機ぐらいはお願いします。

「……やべ」

 余りの暑さに若干おかしくなりかけた意識の中で思考を巡らし、問いかける。

「えーっと……。俺、何で自転車漕いでるんだ?」

 その呟きにも似た疑問に答えたのは、前カゴに放り込んであったレジ袋だった。
 そう、確か、近所のスーパーで酒をしこたま買い込んで……。あぁ、そうだ。『アイツ』の為にわざわざこのクソ暑い中、買い出しに出てたんだ。

「はは……。恋は盲目ってヤツかね……」

 俺は今日何度目だろうか。またも、ため息を吐き出した。
 ふざけんな、恋の盲目。とりあえず今、この時は御退場願いたい。このままじゃ、いくら俺が体育教師と言えどぶっ倒れること間違いなしである。

 ――そんなことを思いながら、俺は不思議とクリアになった意識の下、 ペダルを強く踏み込んだのだった。



『二日酔いなんです。頭痛いんです。だから部屋に入らないで下さい。桂』

 きっと、そんな事が書いてあったのだろう。
 俺は、申し訳程度に破り捨てられた紙の残骸が貼り付けられている白皇学院宿直室の扉を開けた。
 まず目に飛び込んできたのは辺りに散らばる酒瓶の数々。そして、それに埋もれるように倒れている女性が一人。

「おい、雪路。生きてるか?」
「………………」

ふむ。返事がない。まるで屍のようだ。

「俺だぞ~」
「………………」

「薫だぞ~」
「………………」

「酒だぞ~」
「…………うぅ」

 三度目でようやく反応があった。
 俺より酒で反応したことに若干納得いかないが、一応無事と言うことで良しとしよう。

「……にゃによぉ」
「お前が酒を買ってこいって言ったんだろうが。忘れたとは言わせないぞ」

 二日酔いには酒が一番なんだろ? 俺はそう言ってレジ袋を床に置き、腰を下ろした。
 缶ビール八本に加え、一応だが日本酒を一升。二人分としては十分すぎる量だろう。

「なに? アンタも飲むの?」
「あぁ。俺の金で買ったもんだからな」
「……ふ~ん。そりゃ、どうも」

 ぷしゅ。炭酸特有の音を立てて雪路は缶ビールを開けた。

「そういやさ」
「ん? 何よ」
「ドアの張り紙、破れてたけど何かあったのか?」
「あぁ、ヒナよ、ヒナ。アンタがお酒を買いに行って……そうね、直ぐぐらいに来たのよ」
「なるほど、それで怒られたと。自業自得だな」
「全く困った妹だわ。いつからあんな暴力を奮う子になったのかしら?」
「身近に困った大人が現れたからじゃないか?」

 誰よそれーヒナを不良にしやがってー、と呻くように呟きながら酒を煽る雪路。平日の昼過ぎから酒を浴びるように飲む教師を困った大人と呼ばなくて一体誰を困った大人と呼ぶのか。
 そんな雪路を眺めながら、俺はビールを口に運んだ。

「あ、分かった! アンタがその困った大人ね!」
「なっ!!」

 危うく口に含んだビールを吹き出しかけた。

「何でそうなるんだよ! 困った大人? 俺が?!」
「黙りなさい困った大人」
「そりゃ、こっちの台詞だ!」
「黙れ二次元ジゴロ」
「二次元ジゴロじゃねーよ! ってか今それ関係ねーよなぁ?!」
「うわー……自覚のない男の人って」
「ああ、もう! 大体俺はヒナギクとはそこまで身近 な大人じゃねーだろ!」
「そうは言ってもアンタ、イタリア旅行の時言ってたじゃない。ヒナのこと狙ってるって」
「言ってない! 一言も言ってない!」
「じゃあ、誰が好きなのよ?!」
「いやっ、それは……っ!」

 言葉が詰まる。
 誰が好きか。そんなことは、とうの昔に答えは決まっていた。俺は何年も前から雪路が好きだったし、きっとこれからもそうなのだろう。雪路以外を好きになる自分は微塵も想像できなかった。

 ――ただ。

 その自分の想いに迷いがないと言えば嘘になる。
 あまりに長い間、この『好き』という感情を抱き続けてきたせいか、好きに好きという名前を付けあぐねているのだ。
 好きと言う感情がどんなものだったのか、果たして自分が今抱いている感情を恋愛感情として処理していいのか。
 時間と言うのは残酷だ。インクが滲むように、全てを曖昧にしてごちゃ混ぜにして全ての感情を、記憶を、風化させるのだ。
 事実として、自分が雪路に恋をしてると認識はしているが、とうの昔に、俺は好きという感情が何だったのかを忘れてしまっているのかもしれない。

「……好きなのは」

 雪路だ。
 そんな台詞を舌の上で転がし、酒と一緒に流し込んだ。戦略的撤退。そんな言葉が頭をよぎる。

「……いねーよ。そんなの」
「ふーん。二次元に恋してんの?」
「してねぇよ! するわけないだろ!」
「二次元ジゴロのくせに?」
「だから二次元ジゴロじゃねぇよ!」

 ……戦略的撤退?
 少し、自嘲が漏れる。戦略的撤退なんてものじゃない。これはただの敗退行為だ。
 適当に言い訳をして、はぐらかし、今のまま何も変わらずにいようとする。それは、恋愛においては敗退行為に等しい所業だろう。
 そのことが頭では分かっていても、いざ二人の関係に一石を投じようとしても、腕が強張って振りかぶれない。大事な人だから。嫌われたくないから。そんな情けない理由を適当につけて逃げ出して。

「まぁ、でもそれはそれで心配になるわねぇ」
「……はぁ? おいおいどういう意味だそれ」
「アンタもう28よ? この歳になってまで年齢=恋人いない歴って言うのは……」
「なっ! べべべ別にそんなんちゃうわ!」
「黙りなさい童貞二次元ジゴロ」
「ってかお前も28だろ! 恋人いない歴=年齢だろどうせ!」
「私のことは関係ないでしょー! そんなんだからモテないんだやーいやーい!」
「禁止! お前もう酒飲むの禁止! そんなこと言うやつには俺の酒はやらん!」
「えー! ケチ! なんてケチなのこの男! そんなんだから以下省略!」

 こんな、他愛もない冗談を言い合える気軽な関係で満足しようとしている。
 それは必ずしも悪いことではないと思う。そういう選択も、無しではないだろう。波風立たぬ無難な選択。妥協案。言い方は様々ある。

「……お前は彼氏とか作る予定とかないのか?」

 だが、変わりたい自分もいる。一歩先。特別な関係になった俺と雪路。望んでいないわけではない。それだけは確かだった。
 つまり、それは同時に嫌われたくないとか関係を壊したくないだとかそういう言い訳が己のためだけに存在していることを示していて。
 ……ただ、自分が傷つきたくないだけなのだ。
 自分から告白してフラれるのは怖い。だから、相手から告白して欲しいと考える。ひどく利己的で、ズルい考えだった。

「……彼氏? ないわよ、そんなの」
「おいおい良いのか。売れ残るぞ」
「うるさいわね。彼氏なんかよりお金があれば良いのよ。お金が」

 そう言って、雪路はぐいっと酒を煽る。
 言ってることも仕草も、とても色気のあったものではなかった。

「お金ばかりに固執しても良いことないぞ」
「いいのよ。お金とお酒があればなんでもできるって、偉い人も言ってたわ。――それに……」

 雪路はそこで言葉を切り、ため息を吐く。
 その瞳には、少しだけ、淋しそうな色が浮かんでいた。

「お金は、失っても辛くないもの」

 そして、ポツリとそう呟く。
 それから、無きゃ困るけどね。と、乾いた笑いをあげた。

「……そう、か」

 そんな雪路の様子に、俺は何も返すことができなかった。
 もう、高校生の時とは違うのだ。安っぽい言葉を並べて雪路の言葉を否定することはできない。
 時が経ち、俺には俺で様々な経験をしてきた。それは雪路も同じで、しかも、俺の想像もつかない経験してきたはずなのだ。

「俺は……」

 だから、俺はこの先に続く言葉をグッと飲み込んだ。胸の奥に、安っぽい言葉の筆頭として閉まい込んでしまおう。……それが、良い。

「……なに辛気臭い顔してんのよ」
「いや、別に? 枯れてんな、と思って」
「言ったでしょ。本当に欲しいモノは手に入らないモンだって。手に入っても、失わないようにどんなに頑張っても、いつか失くしちゃうの」
「俺が大切にしてた限定モノのガンプラはお前にぶっ壊されたしな。一理あるよ」
「まぁ、そう言うこと。失う悲しみを感じたくなかったら初めから手に入れなければ良い。だから、このままで良いのよ」

 俺は雪路のその言葉の真意を測りかねて、曖昧に笑みを浮かべた。

「結局、どういうことだ?」
「意外とアタシは鋭いってことよ」

 その言葉を受け、俺は黙って缶ビールを傾けた。
 こういう時、なんて返せば良いのだろうか。暫く思考を巡らし、口を開いた。

「……さっぱり分かんねえな」
「だろうと思った」

 そう言葉を交わして、雪路は二本目のビールを喉へと流し込んだのだった。

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あらすじ

The herbivorous

ハヤテのごとく!SS
幼い頃からの恋を秘める薫京之助と、その相手・桂雪路。
二人のホロ苦い夏のひと時を描いたSSです。

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一人三役

一人三役


 G.W.も終わったとある日曜日。
 お嬢様やヒナギクさん達はせっかくの日曜日だからとショッピングに、ルカさんは営業に出掛け、ムラサキノヤカタに穏やかな時間が訪れていた。
 耳に届くのは、新緑で身を飾った木々が擦れる音と僕がお皿を洗う水音だけ。
 開け放した窓からは心地良い風が吹き込み、僕の髪を少し揺らした。

「……そろそろ、ですかねぇ」

 家事を一通り終えたのか、食卓に座ってお茶を飲んでいたマリアさんが不意にそう呟いた。

「……なにがそろそろ何ですか?」
「いえ、そろそろハヤテ君の髪を切った方が良いかなと思いまして」

 水道を止め振り返ると、マリアさんは指でハサミを作りチョキチョキと髪を切るジェスチャーしながらそう答えた。
 その言葉に前髪をつまんでみると、なるほど。確かに前髪は目にかかるくらいに、後髪も肩まで届きそうなほど伸びている。あまり気にしていなかったが、そろそろ散髪しなければ邪魔になってくる頃だろう。それに、週明けを爽やかな気分で迎えるのも悪くない話だった。

「確かに、そろそろ切ったほうがいいかもしれませんね」
「えぇ、あと髪量も多そうなんで少し梳かないと暑くなってくるでしょうし。今ならちょうど暇してるので切ってあげますよ」

 マリアさんの提案に僕は頷く。
 どうせ今日はお嬢さま達も外出していないことだし、これ以上仕事も増えないだろう。髪を切るにはちょうどいいタイミングだ。

「じゃあ、お皿洗いが終わったらお願いします。すぐ終わると思うので」
「分かりましたわ。私はその間に準備しておくので終わったら来てくださいね」

 そう言って、マリアさんはお茶をぐっと飲み干した。それから、立ち上がり散髪の準備をしに自室へと向かう。

「……しかし。マリアさんはスゴいなぁ」

 その後ろ姿を見て思う。
 たったの18歳(本人談)で炊事洗濯掃除を始めとした家事全般を完璧にこなし、ガーデニングや散髪まで守備範囲。更には文武両道才色兼備と、ヒナギクさんに負けず劣らずの完璧超人であるのだ。
 三千院家に育てられたとは聞いているけれど、一体どこでそんなスキルを習得したのだろうか。
 いや、むしろ、マリアさんは帝お爺さまに気に入られていたハズだ。そんなスキルなんて無くてもお屋敷で生活することができただろう。

「――じゃあ、なぜ?」

 そう呟く。
 出会って一年半にもなるであろう女性の謎にほんの少し興味を覚えつつ、僕は蛇口を捻るのだった。



「さてお客さん、こちらへどうぞ」

 皿洗いを終えマリアさんの部屋に向かうと、ちょうど準備を終えたところだったようだ。
 扉を開けると、マリアさんは冗談めいた口調で鏡の前に置いたイスをポンポンと叩き、そこに座るよう促してくる。

「あはは、じゃあ失礼して」
「ではお客さま、今日はどのような髪型に致しましょうか?」
「そうですね……。だいたい二センチから三センチくらい切ってくれればそれで」
「えー……」

 希望を告げると、それまでの笑顔を一転させ不満げに頬を膨らませるマリアさん。
 どうやら単純な注文にご不満なようである。

「もっと他にないんですか? バルーンボブにしてくれとかパフィーボブにしてくれとか」
「いやいやいや! 女の子じゃないんですから普通に短くするだけで良いですって!」
「ちなみに私はですね、ハヤテ君にはボブより髪を編んでみるのが似合うと思うんですよ!」
「人の話聞いてます?! って言うか最初からこれが目的ですか?!」
「ハヤテ君、いいですか? ハヤテ君は可愛い顔してるんですから可愛くしないともったいないおばけが出ちゃいますよ」
「いや、出るなら好き嫌いの激しいお嬢さまの方にお願いしたいんですけど……」
「もう。全くわがままですね、ハヤテ君は」
「え? あれ? これ僕が悪いの?」
「で? 希望は何でしたっけ? ショートボブですか?」
「だから二、三センチ切るだけでお願いします!って言うかボブばっかですね!」
「まぁ、ハヤテ君がイヤなら仕方ありません。普通にやりますか」
「普通にやらないつもりだったんですかっ?!」

 マリアさんはそう言って、残念そうな表情を浮かべて櫛を手に取った。
 それから、僕の髪を梳かし始める。

「けど、ホント女の子みたいな髪質ですわね。サラサラしてて、全然櫛が引っかかりませんし」
「そうですか? 特に手入れとかはしてないんですけど」
「むむむ、それは全国の女の子を敵に回すので口にしないほうがいいですよ」

 そんな雑談を交えながら梳かし終えると、マリアさんは次に霧吹きで髪を湿らせた。そして、慣れた手つきでもう一度さっと櫛を通し、ハサミに持ち替える。

「じゃ、ジッとしてて下さいね……」

 どうやら後髪から切っていくようだ。
 ちゃきちゃきちゃき、というハサミの音に呼応して、ぱさりぱさりと髪が床に落ちる音が耳に届く。

「……そう言えば、ハヤテ君」
「なんですか? マリアさん」
「最近ナギは学校でどうしてます?」
「まぁ、基本的にゲームしてますね」

 ぐりっ。
 僕がそう言うと同時に、肩のあたりに鈍い痛みが走る。振り返ると、マリアさんがじとっとした視線をよこしていた。

「高三にもなってゲームしてるナギもどうかと思いますけど、ハヤテ君もちゃんと注意してください。ハヤテ君が注意しないと、あの子もすぐ調子乗るんですから……」
「一応、注意はしてるんですけどね……」
「今に始まったことじゃないんで良いですけど……。それで、他に変わったところは?」
「うーん、そうですね。まぁ、いつもと変わらず前世はコアラというよりナマケモノか、ってレベルでぐうたらしてるくらいで……」
「……なんだか頭がクラクラして来ましたわ」
「あ、そう言えば、変わったとは違うかもしれませんけど、この一年で前より外出とかしてくれるようになりましたね。ほら、今日だってヒナギクさん達とお買い物に出掛けましたし」
「そう言えばそうですわね〜。前までだったら密林で買えばばいいではないかー、とかなんとか言って出来るだけ外出しないようにしてましたから。……ハヤテ君、前失礼しますね」

 ある程度後髪を切ったのか、マリアさんは今度は前へ回り前髪を切り始めた。
 シャンプーの匂いか洗剤の匂いか。それとも女の子にはそういう機能がもともと備わっているのか、甘い匂いが鼻孔をくすぐる。

「……でも」

 慎重に前髪を切っていきながらマリアさんは、少し、寂しそうな顔で呟いた。

「そういう成長は嬉しいですけど、何だか複雑な気分ですわ」
「……マリアさん?」
「ナギがこうやって外出するようになって友達も増えて……。そう言うの、全部ハヤテ君が来てからなんですよ」

 ぱさり、と前髪がハサミで切られ床に落ちる。

「ハヤテ君が来る前は私が何を言っても部屋に引きこもりっぱなし。私が初めてナギに会ったときなんてもっと酷かったんですよ?」
「簡単に想像できてしまうのが、なんとも……」
「小学校だって、義務教育だから行かなくても問題ない。なんて分けのわからない道理を並べ立てて全然行こうともしませんでしたし」
「お嬢さま……」

 当時のマリアさんの苦悩を思うと、涙がちょちょぎれる思いだった。
 それを考えると、今のお嬢さまの姿はあれでも成長しているのだ。成長を喜ぶべきなのかもともとの低さに悲しむべきなのか判断に困るところではあるが。

「だから、ナギが学校に通うようになるようにと思って私もいろいろと手を尽くしたんですよ。クラウスさんとも相談して、もしかしたら紫子さんが亡くなられたのが原因じゃないかって。それで、紫子さんの代わりになるようなことを色々としてみたんです」
「へぇ……。例えば、どんなことを?」
「紫子さんっぽく歌を歌ってみたりとか、お風呂で髪を洗ってあげたりだとか、ですかね」
「歌……ですか?」
「えぇ、私がもともと歌好きっていうのもあって、これはイケる! って思ってたんですけどね。どうやら紫子さんのテンションで歌ったのがまずかったみたいでナギと大げんかになりましたよ。マリアに母の代わりが務まるものか! って」
「へぇ……。ちなみに、紫子さんのテンションって言うのは? だいぶ愉快な方だったとお嬢さまから聞きましたけど……」
「え……っと、ですね……」

 僕がそう問いかけると、都合が悪そうに顔をそらすマリアさん。顔も若干赤くなっていて――と言うか鏡にばっちり顔が映っているので背けてる意味ないんですけどね。

「マリアさん……?」
「い、いえっ! もう昔のことなので忘れてしまいましたわ! そ、それよりですねっ、えっと、あ、そう! この髪を切るのも紫子さんがナギの髪を切ってたとかで!」

 あまり思い出したくない記憶なのか、マリアさんは慌てて話題を逸らした。折角なので後でお嬢さまに聞いておこう。

「あぁ、だから散髪も出来るんですね」
「えぇ。でも、最初はあまり上手くいかなくて。クラウスさんを練習台にしてたんですけど、当時は帽子なしに外を歩けなかったみたいですよ」
「それはまた……。クラウスさんは当時から損な役回りだったんですね」
「えぇ、まぁ。でも、クラウスさんもナギのためを思ってやってくれてるので。――っと、前髪はこんな感じでどうですか?」

 前髪を切り終え、マリアさんは僕に確認を求めてきた。切ったのはだいたい一センチくらいだろう。目にかかる程だった前髪は長すぎず短すぎず、ちょうどいい長さになっていた。

「おお、ちょうど良い感じですね」
「じゃあ、全体的にちょっと整えてお終いですね」

 そう言って、ちゃきちゃきと手際よく髪を整えていく。紫子さんも、こんな感じでお嬢さまの髪を切っていたのだろうか。

「……まぁ、そんな感じでナギの母親代わりになろうって思ってたんですよ」
「へぇ、じゃあ、マリアさんにとってお嬢さまは娘みたいなものなんですね」
「……いえ、それは。どうやっても私が紫子さんみたいになるのは無理だって気付きましたから。今は……そうですね、世話の焼ける妹、って感じですかね」

 さ、出来ましたよ。
 マリアさんはそう続け、一仕事終えたという風にパンパンと手を叩いた。
 鏡を見ると、髪も短くなりサッパリした様子の僕が映し出されていた。男にしてはまだ長いほうだとは思うが、暑苦しい様子も見苦しい感じもしない。切る前より二割増でカッコよく見えたりして、なんて。

「いやー、サッパリしました。ありがとうございます、マリアさん」
「どういたしまして。女の子みたいな髪型にしたくなったらいつでも言ってくださいね」
「いや、それは遠慮しときます……」

 椅子から立ち上がり、マリアさんの片付けを手伝いながらそう言うと、マリアさんは愉快そうにクスクスと笑みを零した。
 そして、それとほぼ時を同じくして。

「ただいまー!」

 玄関からお嬢さま達の声が耳に届いたのだった。



「お帰りなさいませ、お嬢さま」
「うむ! 今帰ったのだ!」

 僕とマリアさんが玄関まで出迎えると、お嬢様たちの手には様々な袋が持たれていた。

「お買い物はどうでしたか? 皆さん」
「欲しい物も買えたし、結構良かったわ。ね、歩」
「うんうん。文房具とか手帳とか」
「あと、レア物の同人誌も」
「それはカユラだけだろ?」
「大丈夫、後でナギにも見せてやる」
「あ、それ私にも貸してくれ」

 どうやら、服に文房具、果ては同人誌に渡るまで買い物を楽しんできたようだった。
 うんうん。お嬢さまもこうやって年相応にショッピングを楽しむようになったのだな、と思うと感動の涙がこみ上げる想いだ。

「あ、それでナギ。あれ渡さないの?」
「ん? あぁ、そうだったな。えーと、確か別の袋にしたんだよな……」
「もう。確かその白い袋じゃなかった?」
「どれ。あぁ、これだこれだ。はいこれ、マリアに」

 ヒナギクさんの言葉に、ナギお嬢さまは手に持った袋のうちの一つを取り出した。
 それから、大事そうにマリアさんに手渡した。外見的に、中身はそこそこ大きめで四角い――板のようなものだろうか。

「……これは?」
「今日は母の日だからな。皆でマリアにプレゼントを買ってきたのだ」
「いや、私は別にお母さんでは……」
「良いの! マリアはそんじょそこらのお母さんよりお母さんだからな。日頃の感謝を込めて、皆からのプレゼントだ」
「はぁ……。開けてもいいですか?」
「うむ!」

 お嬢さまが頷くのを見て、マリアさんは袋を開ける。

「これは……ボード、ですか?」

 袋から出てきたのは、コルク製のボードだった。大体横に四十センチ、縦に三十センチくらいだろうか。シンプルなデザインで、どこに飾っても違和感のないような代物だ。

「あぁ。写真ボードかなにかにしてくたらな、って。部屋に飾れて丁度いいだろ?」
「ナギ……。ふふっ、ありがとうございます」
「うむ。どういたしまして。……それじゃ、早速一枚目を撮ろうではないか!」
「はいはい。どこで撮るんですか?」
「さっきルカに会って、庭でもう準備してもらってるのだ! アパートの皆で撮るのだぞ!」
「はーい。了解ですわ」
「ほら、ハヤテも早く! ……ってお前、髪切ったのか?」
「えぇ、お母さんお手製の髪型です」
「ちょっとハヤテ君! だから私はまだお母さんなんて言われる歳では……」
「まぁまぁ、良いじゃないですか。……お母さん代わりになろうと思ってたんでしょ?」
「……もう!」

 マリアさんは、僕の言葉に不満げに頬を膨らませた。
 けれど、その仕草は嬉しそうににやける表情を隠しきれていなくて。

「ほら、写真を撮るなら早く行きますよ。そろそろ夕食の買い物に行かないといけませんし」
「あ、今日の晩御飯なに?」
「カレーですわ」
「やった!」

 それでもにやけた顔を隠そうとそそくさと庭に出て行こうとするマリアさんの手に、お嬢さまは自らの手を伸ばすのだった。

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